次の話に進む→

←前の話に戻る

トップページに戻る

小説のページに戻る


 夏休み、どこかへ遊びに行きたい!!
 だが、一人旅はつまらん……大勢で行くか…。
 そうと決まれば早速、メンバーの収集だなぁ。

第74話 悪魔の連絡網 <<春香>>


 体育大会から二週間が過ぎ湊市も梅雨に入った。
 中間テストという大きな難関を無事突破し、夏への期待は高まっている。
 そう、あたしの一番好きな季節だ。
 その季節を楽しむためにも容赦はしない。


Character1 雄二

 まず雄二だな。これは確定だ。
 早速、雄二の携帯に電話を入れる。

トゥルルルルル
 トゥルルルルル

「はい、こちら少佐」
「夏休みリゾラン行くぞ。金貯めとけ」
 リゾラン、『リゾートランド』。
 宿泊施設のついたプールとかゲーセン等その他もろもろのレジャーランドだ。
「おい!! ちょっ……

ブツッ

 はい、一人確保。
 
 あ、言い忘れた。コールアゲイン。

トゥルルルルル

「おい、春香!!」
「ナツ持って来い。これは命令だ」

ブツッ

 ナツとは藤木 千夏<<ふじき ちなつ>>。
 雄二の妹であり、あたしの妹みたいなもんだ。
 これで二人っと。
 こういうのはスピーディーにいかんとな


Character2 健吾

 雄二が行くならコイツもオマケで付いてくる。

トゥルルルルル
 トゥルルルルル
  トゥルルルルル

 遅い……。

「…………はい」
 何だ今の間は。
「夏休みリゾラン。お前参加」

ブツッ

 三人目。

ダダダダダダッ うわぁ〜

 ん?メールだ。
 あたしのオリジナル着信音。マシンガンの銃声と人々の悲鳴が響く。

― わけ分かんないんスけど…… 曹長 ―

 ゴリか……
 電話は無駄と悟ったか。利口な奴め……

― 雄二に聞け 大佐 ―

 返信っと。
 そろそろ女性陣も誘わんとな。あたしとナツだけじゃつまらん


Character3 有香

 じゃ、有香だな。雄二が来るなら有香も来るだろ……。

トゥルルルルル
 トゥルルルルル
 
「もしもし?」
「あ、有香?夏休み旅行行かない?」
「どこへ行くの?」
「リゾラン」
「そんなお金ないから……」
 断る気か?


「雄二も来るぞ」
 しばらくの間、沈黙が流れた。
「…………何で、知ってるの?」
「いや、だって、体育大会のときの態度見りゃ分かるっしょ」
 あれほどの態度見りゃ、いくら鈍いあたしにだって分かるわい。
「で、行くのか?行かんのか?」
「う〜ん……」

「部屋割りはクジで決めるぞ。雄二と一緒になればいいな」
「…………行く」
 はい四人目。
「じゃ、お金貯めといてね〜」

ブツッ

 もう一人くらい女がほしいな……。
 気は進まんがアイツにするか?


Character4 さやか

トゥルルルルル
 トゥルルルルル

「春香?何?珍しいね」
 そりゃ珍しいでしょうよ。全然かけねぇもん。
「さやか、まともな出会いがほしくないか?」
「ほしい!!」
 さすが……即答だな。
 さやかは学校では魔性の女として有名だが、実は普通の恋愛を求めている。
「夏休み、リゾランで出会いを求めてみない?」
「行く。絶対行く」
「じゃ、予定決まったら連絡する」
「OK〜」

ブツッ

 あたし達はナンパに行くわけではない。
 だから気が進まないわけだが……。

 さて、これであたしを含めて六人か……女が多いな。
 部屋割りクジを楽しむためにも均等がベストだ。
 すると、あと男二人か。


Character5 智樹

 よし、谷口を呼んでやろう。雄二と仲いいしな。
 しかし、あたしは奴の携帯の番号は知らん。
 仕方ない。自宅でいっか
 学校の緊急連絡網を見て電話をかける。

トゥルルルルル
 トゥルルルルル

「はい、谷口ですが」
 女の人の声。母親か?


「あの、湊大付属の斉藤といいますが智樹君いますか?」


「はい、少々お待ちください」
 ここは有香の名をかたっておこう。

「もしもし、斉藤さん?」
「わたしだ」
「……井上さん?」
「イエス、アイアム」
「え、と、何か用?」
「夏休み雄二達とリゾラン行くけど来る?」
 と、言うか来い。

「ふぅ……行くよ。どうせ決定事項でしょ?」
 さすが、分かっているようだ。
「まぁね。じゃ、詳しいことは後で雄二に聞いてくれ」
「了解。 あ、他人の名前をかたるのはやめてほしいんだけど……」
「念の為よ」
「そんなことしなくても、ちゃんと出るよ」
 ほぅ、言うようになったではないか。雄二の影響か?
「分かったわよ」
「それじゃ、そういうことで……」

ブツッ

 ふん、面白い奴になったではないか。

 最後のメンバーを決めなければ……
 ピエロ一匹でいっか。


Character6 田村

トゥルルルルル
 トゥルルルルル

「あい、田村」
「あたしだ」
「い、井上?」
「喜べ。夏のドッキリのメンバーに入れてやるぞ」
「マジで!?」

「雄二をハメるぞ。計画はこうだ。奴だけリゾランに残し夜中に全員帰る。
朝になって、奴は一人リゾランに残される。というわけだ」
「どういうことだ?」
「奴には二泊と言ってあるが、本当は一泊だ」
「なるほどな。面白そうじゃねぇか。参加するぞ」
「よし、お前には重要な任務がある。詳しいことは決まってから話す」
「了解。いや〜、楽しみになってきたな〜」
「そうか、そりゃよかったな」
 
ブツッ

 逆ドッキリにしてやるか……
 アイツは一泊分の金しか持ってこないだろう。
 で、本当は二泊する。

 二泊目の金はあたしが貸してやろう。
 トイチで……



次の話に進む→

←前の話に戻る

トップページに戻る

小説のページに戻る

inserted by FC2 system