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《縮地札》の使い方
札を手に持ち「クイックムーヴ」と言ってください。以上っす!!

説明書いらねぇんじゃねぇの……?

第54話 疾風パーティー爆誕 <<雄二>>


「これは……は、速いね……」
「歩いてるだけなのに……」
「歩幅が大きくなった感じですね……」
 時速約50kmで爆走する4人組。それまでの詳細はこんな感じだ。


今から5分前……

「説明するぞ〜。札は持ったな?」
「OK」
「持ったよ。雄二君」
「持ちました」

 本当にこの説明だけでいいのかな……

「<クイックムーヴ>と言ってください」

「「「 クイックムーヴ 」」」

「以上っす!!」
 ここまで説明書を真似て読んでみた。
「じゃあ、行きましょうか……」
 レナは歩き出した……と思ったら、もう見えなくなっていた。
「え?」
 智樹は風を感じて呆けていた。
「早く追いかけろ!! レナを見失ったら道が分からねぇぞ!!」
「あ……うん。行くよ有香さん!!」
「う、うん!!」
 2人はレナの向かう方向へ走っていった。
「風華!! あいつ等に追いつくぞ!!」
『りょ〜か〜い』
 皆以上のスピードで俺は走った。


で、今に至る。

「雄二。ちょっと速いよ」
「そ、そうか? 加減が難しいんだよ」
 本来、音速並のスピードを出せるので、みんなのスピードに合わせるのが大変だ。
「お、モンスターだ」
 
 ドドドドドドドドドドド………

 モンスターの横をそのまま駆け抜ける。
「で?さっきのモンスターは何だ? でかいトカゲみたいだったが……」
「今のはベビードラゴンです。結構強敵ですよ。火とか吐きますし」
「へぇ……。ドラゴンか……興味深いね」
「本当に強そうだったわ……」
 その間も俺達はひたすら走っている。正確には歩いているのだが……。


 後方から馬が追いかけてくる。
「おい、なんか馬が追いかけてくるぞ」
「馬の速度は僕たちよりも速いからね。ただの馬かな?」
「見た感じモンスターであることは間違いないと思いますが……」
「もうすぐ追いついちゃうよ?」

「仕方ねぇなぁ……<<風よ、彼の者に安らかな眠りを与えよ>>」
 馬が崩れ落ちるように倒れ、視界から消えた。

「ふぅ……いい夢見ろよ」
「あれ? 新しい魔法だね?」
「風華さん昇格したんですか?」
「ああ、こっちに来る前に昇格してた」
「……昇…格?」
 有香にはソウルウェポンのことは説明してなかったな……。
「ソウルウェポンにはランクがあるんだよ。ちなみに風華は第7級だ」
「私の美空は第9級です」
「僕……その話は聞いてないよ?」
「あれ? そうだっけ?」
 …………。
 記憶を辿るが確かに言ってないような気がする……。

「へぇ、やっぱりランクがあったんだね……『神無』」
 しばらく智樹は神無と会話を交わした。

「神無はまだ第10級だってさ。生まれたてだし、仕方ないね」
 俺は生まれたてで8級だったぞ……。

「ところでさ、聞いていい? 雄二」
「あん? 何だよ」
「風華ってどんな感じ?」
「どんなって言うと?」
「いや、神無は僕のこと、智樹様とか言うからさ。智樹でいいって言ってんのに……」
 す、すげぇ……風華なんか、かなりフレンドリーだぞ……。
「智樹……それって主従関係って感じか?」
「う、うん。本当にそんな感じなんだよ」
 う、羨ましいではないか……。
「風華はフレンドリーだぞ。対等な関係だな……。友達感覚だし……」
「でもウェポンと僕等は本来主従関係だって神無は言うんだ」

 規則破りのソウルウェポン発見の瞬間だった……。

(だ、そうだぞ? そこんとこ……どうなってんのかね?)
『あら、じゃあ、そういう風にしてあげましょうか? ご・主・人・様♪』
(…………)

「こいつぁ駄目だ。主従関係が世界一似合わねぇ女だ」
『どういう意味よ!!』
「……一体どんな人なの……風華って……」
「う〜ん。口だけの春香って感じ?」
「判断しにくいね……それ……」
『口だけの春香ちゃん……』

 智樹も風華も良く取るべきか、悪く取るべきか判断に苦しんでいる。

「じゃあ、美空はどんな感じなんだよ?」
「う〜ん……お姉さんって感じでしょうか……」

 どんな感じかさっぱり分からん……。
 
「ま、主従関係ではないようだな」
「ええ、私が止めるように言いました」
「僕は言っても駄目なのに……」
「智樹。今のままがいいと思っとけ、俺のようになるなよ……」

『……雄二様と呼びましょうか? そんなに私が嫌いですか?』
(嫌いじゃねぇよ、その口調はやめろ)
『いいえ、雄二様が望むなら……』
(望んでねぇ。頼むからその口調はやめてください……)

「みんな…いいなぁ……私も欲しいな……」
「有香、これを手に入れたら地球人失格だぞ」
「前も言ったけど《普通》じゃいられなくなるよ?」
 有香のセリフに俺は即座に反対を出し、智樹もそれに続いた。

「私思ったんだけど……ここに来てる時点で《普通》じゃないよね」
「そ、そりゃ……そうだな」

 いや、そうだけどさ……。ソウルウェポンは別物だろ。

「それに雄二君も智樹君も……楽しそう……」
「確かに……俺は楽しいな」
『でしょ? やっぱりあたしは偉大ね♪』
「前言撤回。苦労してるぞ……」
 それを聞いて有香はクスッと微笑むと「やっぱり楽しそうだよ」と言った。

「じゃあ、目覚めるといいね。有香さん」
「うん」
「では、それまでの話し相手に無繋を貸してやろう」
「え゛!? ……あの人はちょっと……」
 無繋を差し出す俺に、有香は渋い顔を返した。

― 無駄だ。我の声、もはや主にしか聞こえぬ ―

「ちっ!! 無理みたいだ。悪りぃな有香」
「き、気にしないで!! 時間はたっぷりあるから」
「そうだな、気長に目覚めを待とうぜ」
「う、うん!!」
 うむ、いい笑顔じゃ。

 俺達の驀進劇はまだまだ続く……



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