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 予想通りMVPの商品はろくなもんじゃなかった。
 まぁ、この恨みは何十倍にもして返してやることになるだろう。
 さ、宴会の続きだ。

第44話 危機の序章 <<雄二>>


 ほぼ全員にだいぶ酒が入り、かなり酔っている状態だ。
 前方ではカラオケ大会が催され、後方では様々なゲームが行われている。
 俺達4人は中央付近で、まだ飯を食べながら雑談をしていた。

「お〜い。次、誰が歌うんだ〜?」
 誰かがカラオケのマイクを使って聞いた。

「雄二の番じゃないの?」
「俺? 俺曲入れてねぇよ」
「だよねぇ……だって雄二」
「それ以上言うな……俺だって悲しいんだ」
 ずばり言おう。俺は音痴だ。「ぼぇ〜」って効果音はさすがに付かないけどな

「どうせなら歌ってくれば?」
「クラスに恥を晒せと?」
 明日から音痴大王って渾名が付くこと請け合いだぞ。

「よし!! 宴会部長田村よ、場を盛り上げろ!!」
 誤魔化すために田村を利用した。
「仕方ねぇ……やってやるよ」
 田村のロックでなんとか場を持ち直した。


― ユージさん。トモキさんに聞いてくれました? ―
 こんなときにレナから通信が入る。
(おお、レナ。聞いたぞ。いつでもいいってさ)
― じゃあ、さっそく今からでも呼びましょうか? ―
(それは駄目だ。今打ち上げの真っ最中だからな)
― ウチアゲ? なんですか? それ? ―
(イベント終了の宴会のことだ)
― 宴会? 宴会ですって!? ―
 ヤベ……レナが宴会嫌いなの忘れてた……
― そんなことしてるんなら今すぐ呼びます!! 絶対呼びます!! 何が何でも呼びます!! ―
(バカ!! やめろ!!)
― いいえ!! やめません!! 今からぴったり5分後に呼びますからね!! ―
(おい!! やめろって!! レナ!! レナ!?)
 通信は切れてしまった。くそっ!! 残り時間はあと5分。
「智樹!! ちょっと来てくれ!!」
「どうしたの?雄二……」
「いいから来い!!」
 俺は智樹を引っ張り、宴会部屋を抜け出した。

「どうしたんだよ?なんかあったの?」
「呼び出しだ。今すぐ!!」
「ええっ!? 急すぎるよ!!」
「レナに今の状況説明したら怒って呼び出すって……」
「レナさん宴会嫌いだもんね……」
「あと5分で呼び出すってよ」
「仕方ないね。じゃあ、このまま待ってようか……」
「ああ、そうだな……」
 俺達は廊下に座り込んだ。


2人の行動と私の行動 <<斉藤>>

 藤木君が谷口君を連れて部屋を飛び出したのを見ていて、あれはただ事ではないと思った。
 私はコッソリと二人のあとをつけていった。

 廊下で2人の話す内容を聞いて私の疑いが確信へと変わる。

 やっぱりあの話はゲームなんかじゃない!! 2人は何かを隠してる!!

 何が起きるかは5分後にはっきりするだろう。
 盗み聞きなんて悪いことだって分かってる。
 でも……それでもこのまま放っておこうとも思えない剣幕だった。

「どこへ行くの?」
 私は二人の前に出て聞いた。
「「 斉藤さん!? 」」
「二人ともどこか行くの? 呼び出しってどういうこと?」
「逃げるぞ!! 智樹!!」
「うん!!」
 私の姿を見ると二人は逃げ出した。迷うことなく私は追いかけた。
「待ってよ!!」

 廊下を走り回る二人を私は追いかけ続けた。
 このままじゃ埒があかない。
 私は藤木君に跳びかかり、タックル気味に足にしがみついた。
「なんで逃げるの!?」
「放してくれ!! 斉藤さん!! このままじゃ……!!」
「理由はあとで話すから僕達から離れて!!」

 そのとき藤木君から光が溢れ出して私の視界は真っ白になった。
 光に包まれたと感じたときには、私は意識を失っていた……




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