予想通りMVPの商品はろくなもんじゃなかった。 まぁ、この恨みは何十倍にもして返してやることになるだろう。 さ、宴会の続きだ。 ほぼ全員にだいぶ酒が入り、かなり酔っている状態だ。 前方ではカラオケ大会が催され、後方では様々なゲームが行われている。 俺達4人は中央付近で、まだ飯を食べながら雑談をしていた。 「お〜い。次、誰が歌うんだ〜?」 誰かがカラオケのマイクを使って聞いた。 「雄二の番じゃないの?」 「俺? 俺曲入れてねぇよ」 「だよねぇ……だって雄二」 「それ以上言うな……俺だって悲しいんだ」 ずばり言おう。俺は音痴だ。「ぼぇ〜」って効果音はさすがに付かないけどな 「どうせなら歌ってくれば?」 「クラスに恥を晒せと?」 明日から音痴大王って渾名が付くこと請け合いだぞ。 「よし!! 宴会部長田村よ、場を盛り上げろ!!」 誤魔化すために田村を利用した。 「仕方ねぇ……やってやるよ」 田村のロックでなんとか場を持ち直した。 ― ユージさん。トモキさんに聞いてくれました? ― こんなときにレナから通信が入る。 (おお、レナ。聞いたぞ。いつでもいいってさ) ― じゃあ、さっそく今からでも呼びましょうか? ― (それは駄目だ。今打ち上げの真っ最中だからな) ― ウチアゲ? なんですか? それ? ― (イベント終了の宴会のことだ) ― 宴会? 宴会ですって!? ― ヤベ……レナが宴会嫌いなの忘れてた…… ― そんなことしてるんなら今すぐ呼びます!! 絶対呼びます!! 何が何でも呼びます!! ― (バカ!! やめろ!!) ― いいえ!! やめません!! 今からぴったり5分後に呼びますからね!! ― (おい!! やめろって!! レナ!! レナ!?) 通信は切れてしまった。くそっ!! 残り時間はあと5分。 「智樹!! ちょっと来てくれ!!」 「どうしたの?雄二……」 「いいから来い!!」 俺は智樹を引っ張り、宴会部屋を抜け出した。 「どうしたんだよ?なんかあったの?」 「呼び出しだ。今すぐ!!」 「ええっ!? 急すぎるよ!!」 「レナに今の状況説明したら怒って呼び出すって……」 「レナさん宴会嫌いだもんね……」 「あと5分で呼び出すってよ」 「仕方ないね。じゃあ、このまま待ってようか……」 「ああ、そうだな……」 俺達は廊下に座り込んだ。 2人の行動と私の行動 <<斉藤>> 藤木君が谷口君を連れて部屋を飛び出したのを見ていて、あれはただ事ではないと思った。 私はコッソリと二人のあとをつけていった。 廊下で2人の話す内容を聞いて私の疑いが確信へと変わる。 やっぱりあの話はゲームなんかじゃない!! 2人は何かを隠してる!! 何が起きるかは5分後にはっきりするだろう。 盗み聞きなんて悪いことだって分かってる。 でも……それでもこのまま放っておこうとも思えない剣幕だった。 「どこへ行くの?」 私は二人の前に出て聞いた。 「「 斉藤さん!? 」」 「二人ともどこか行くの? 呼び出しってどういうこと?」 「逃げるぞ!! 智樹!!」 「うん!!」 私の姿を見ると二人は逃げ出した。迷うことなく私は追いかけた。 「待ってよ!!」 廊下を走り回る二人を私は追いかけ続けた。 このままじゃ埒があかない。 私は藤木君に跳びかかり、タックル気味に足にしがみついた。 「なんで逃げるの!?」 「放してくれ!! 斉藤さん!! このままじゃ……!!」 「理由はあとで話すから僕達から離れて!!」 そのとき藤木君から光が溢れ出して私の視界は真っ白になった。 光に包まれたと感じたときには、私は意識を失っていた…… |