やっぱり春香を怒らせると怖いね。もう既にボロボロ状態だ。 あいつ最近、怒りやすくなっちゃいないかい? 極力からかわないよう気をつけるべきかもしれんな……。 HRの時間、教卓でヨッシーが体育大会について話し始めた。 「あ〜。分かってると思うけど来週の水曜日体育大会やるぞ。 これも当然だと思うが優勝しろよ。金かかってんだからな!! と、いうわけで今日の1時間目は体育大会のメンバー決めるぞ」 金を賭けている事を堂々と公言してしまう教師がこの世にいて良いのだろうか……。 「おい、ヨッシー。当然俺たちにも分け前……あるんだろうな?」 委員長の片山がヨッシーに問い詰める。まぁ生徒側としては当然の意見じゃないか? 「あるわけねぇだろ。俺の金だからな」 「…………」 片山、唖然。 ヨッシーの言い分も一理あるが何か違うと思わんか? 「じゃ、八百長すっか」 ヨッシーに反論したのは田村だ。 「そうだね。ヨッシーのために頑張る義務ないし」 智樹もそれに続く 「ヨッシー?ど〜する〜?あたし達と契約結ぶ〜?それとも……賭け金捨てますぅ?」 「俺達はどっちでもいいぞ。報酬は宴会一回ってところか?」 春香が詰め、俺が止めをさす。 「宴会って……お前らの宴会はかなりの出費が予想されるぞ!!」 さすがに分かってるじゃないか。俺たちの宴会は一人5千円は軽く使う。 まぁ合計……25万くらい? 「それだけ賭ければいいだろ?」 片山氏、容赦ありません!! 「勝てるんだろうな……」 「全力は出す。勝てなかったら全員で賭け金の半額は返してやるよ」 「おっ、おい。そんな話いきなり決めんなよ」 「そうよ、勝手に決めないでよ」 「俺、嫌だぞ」 片山の言葉に教室中からブーイングが出る。俺は結構やる気だ。 ガタンッ 春香が立ち上がると教卓に歩いていった。 「ヨッシー、どいて」 「お、おう」 ヨッシーも春香の様子に退かざるをえなかった。 「あんた等ね〜、勝てばいいのよ。負けなければいいの。 勝って宴会か、負けて罰金か。これこそギャンブルじゃないの? 罰金なんてたいしたことない。勝利の美酒を味わいたくない?」 それを聞いて俺は立ち上がり教卓にいる春香に言った。 「おい、春香。なっちゃいないな、ちょいとどけ」 「な、なによ。まだ話の途中のなのに……」 「まぁまぁ、まかせとけって」 俺は春香に代わって教卓に立つと演説を始めた。 「てめぇらそれでも2−Bか!! やる気あんのかボケ共がぁ!! 戦力は他のクラスと比べても圧倒的だというのに早くも逃げ腰か!!」 「3−Fがいるじゃん」 3−Fとは3年の問題児をかき集めたクラスである。 だが、甘いな。田村のつっこみ如きでは俺は退かないぞ。 「受験に溺れている輩と我々は違う!! 今こそ下克上のとき!!」 「でもさ〜。負けたら罰金よ?」 今度は結城のつっこみか…… 「だからって逃げるな!! チキンか!? 貴様等は!! 罰金なんて考えるな!!! 我々は必ず勝てる!!! それだけの実力がある!!!」 「能力的にはこっちが有利なのは間違いないよ」 智樹の援護射撃、感謝!! 智樹も乗る気だな。 「これは戦争なんですよ!! 元々負けるわけにはいかない戦いなんですよ!! 賭けなんぞおまけに過ぎん!! おまけなどに心を奪われるな!! 2−Bの意地を見せてやれ!!!」 「「「おおっ!!!」」」 「見たか春香。民衆はこのように動かすのだよ……」 「雄二……アンタって本っ当に煽動うまいわね……」 「ヨッシー、見ての通りだ。やるかやらないかはアンタ次第だぞ?」 「あのなぁ……もうやらないわけにはいかんだろ……。任せたぞ、藤木」 こうして俺達はヨッシーとの契約に乗ることになった。 委員長の片山を差し置いて、俺は体育大会のオーダーを仕切ることになった。 「まず対戦種目の確認だ。智樹頼む」 「了解」 そう言って智樹が立ち上がる。 「今年の体育大会、男子はバスケとサッカー。女子は野球とバレー。 男女混合のマラソンと卓球、バドミントンがあるよ 今年も去年同様ポイント制だから、他を捨てても1競技で1位をとった方がいい」 「ポイントの方はどうなってる?」 「1位が10、2位が5、3位が2ポイントになってる」 「智樹、お前の考えを聞こう」 「そうだねぇ……まず3−Fの能力からいって間違いなく 彼等はサッカーと野球の大人数種目で勝負に来る。 避けるか勝負するかはこっちの戦力次第だけどサッカーは避けて野球は勝負……かな?」 「マラソンのポイントはでかい。上位に入れば間違いなく他のクラスと差がつく。 だからマラソンは俺と春香でワンツーフィニッシュ決めてポイントを稼ぐ。 男子で運動が苦手なものはサッカー。 バスケ部、または運動得意な奴はバスケ。残ったものは男女混合!! 女子は全競技、平均的に配置、斉藤さんは野球で頼む。 結城は男女混合で男をたらしこめ!!」 「ちょっと人を男漁りのように言わないでよ!!!」 結城が俺に抗議する。 「できるだろ?お前なら」 「そりゃできないことはないと思うけど……」 「じゃ、決定な。手段選んでる余裕はないんだよ」 「あ……あたしって一体……」 魔女って言ったら断られそうだから止めといた。 「じゃあ、皆の者!! 己の戦力を冷静に判断し各スポーツに記名せよ!!」 「「「 ラジャー!!! 」」」 |