あたしは"情報屋"が苦手だった。苦手と言うよりも嫌いだったのかもしれない。 自分の目で見たものを信じず、他人の言ったことを信じていたから…… でも、雄二のことを理解してくれた今の"谷口君"なら友達になれるかもしれない…… 学校に着いたあたし達は後方に固まった席で雑談をしていた。 あたしの前に雄二、隣に谷口君。 雄二も谷口君もDRD作戦以降とても仲良くなった。 まるで元々友達だったかのようだ……たった数日で……。 「で、体育大会なんだけどさ、今年はどんな競技があるんだ?」 雄二の質問を聞いた谷口君は手帳を取り出して競技を確認した。 谷口君自慢の手帳だ。あの手帳には一体どれだけの情報が入っているんだろう…… 「男子がバスケとサッカー、女子が野球とバレー。 あと男女混合でマラソンと卓球、バドミントンだってさ」 「智樹は何やるんだ?」 「う〜ん、スポーツは得意じゃないからね。卓球かサッカーじゃないかな……」 「俺と春香は決まってるよな」 「え?」 雄二の奴いきなり何を言い出すんだろう? 決めた覚えもないし決まった覚えもない、そもそも話すらしていない。 「俺達はマラソンだろ?」 「あたしはなんだって勝つ自信あるけどね」 「脅してでも勝利を掴むだろお前は……」 雄二にはかなりお仕置きが必要のようだ。 脅してでもってあたしゃ怪獣かい!! 「ごめんなさい。言い過ぎました」 あたしがご立腹なのを察したようだ。さすがに長い付き合いだと感情はばれるか……。 「まぁ、マラソンでもいいよ。気が向いたらマラソンにしとく」 「毎日マラソンやってんのに……みんなお前にマラソンは譲るだろ……」 あたしだって毎日走りたくて走っているわけではない。 朝弱いのだ。少しでも長く眠っていたいのだ。空蝉やってでも…… 最近雄二の起こし方に遠慮というか手加減がなくなってきた。 毎日早く眠るようにはしているのだけど…… 「譲ってもらわなくて結構。あたしはやりたいことをやるわ」 「春香はやりたいことできるだろ。倍率1.0確定で」 あたしってそんなに問題児? そりゃちょっと気に食わなかったらボコッちゃったりするけど……短気だけどさ…… そこまで言わなくてもいいんじゃない? あたしだって女の子だし傷つくっつうの!! ああ〜!! なんか腹立ってきた!! 「雄二?ちょっとそこまで来なさい」 「は、春香さん?何をそんなにご立腹で?」 「いいから来る!!」 「…はい……。智樹、俺体育大会出れないかもしれない……」 「ちょっと言い過ぎたね。ご愁傷様」 そのあと散々雄二を殴ってやった。雄二は無抵抗で殴られていた。 雄二は隠し事が多すぎる!! 朝の事だってそうだ!! あたしに何も話さない。 物心つく前からずっと一緒にいるってのに何にも相談してくれない!! 雄二があたしのことを分かっているようにあたしだって雄二のことを少しは分かってるつもりだ。 なのに雄二は肝心の中身を一切見せようとしない。一番近いあたしにさえも……。 正直悔しい。ムカつくけど悔しくて仕方ない。 その分だって今日は殴ってやる!! あたしの苦労だって少しは知ればいいんだ!! 散々殴ってから思う。 う〜む、今日のあたしはなんか変だ。いつものあたしじゃない。 考え事が多すぎていつものあたしになりきれてない。 |