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リオラトロワイアル 第8話 

 人数が減り、ゲームに乗る者の割合が増えることにより
 戦闘は急激に激化した。各地で戦闘が起こり始めたのである。
 エリアが徐々に狭まったことで遭遇率も上がったのも理由の一つだ。

 時間は午後4時13分。コリンは健吾と共にE1地区に留まっていた。
 今は健吾が眠る時間だった。交代で寝ている分、コリン達は有利と言えた。
「…………」
 絶えずE2地区の方向を見渡し、敵が来ないかを見張っている。
 F1地区に人がいないことは確認済みだ。D1地区は既に禁止エリア。
 誰かが来るとしたら、E2地区からしかありえない。

 睡眠時間は若干コリンの方が多め。体力面を考慮するとそれも正しい。
 偵察における集中力、観察力はコリンの方があるようだった。
 2人の能力を活かした偵察体制であるといえるだろう。
「……きた」
 コリンはすぐに健吾を叩き起こし、来訪者の存在を告げた。
「健吾……誰かが近づいて来てる」
「!!」
 寝惚け眼だった健吾がその一言で覚醒する。

「……おい!! そこにいる奴!!」
 健吾は敵か味方かを見定めようと、来訪者に声を掛けた。

ガゥン!!

 しかし、希望と裏腹に返ってきたのは重い銃声。
「やっぱり敵かよ……」
 ベレッタの安全装置を外し、大木の陰に隠れながら銃を構える。
「もう、敵しかいないのかもね……」
「そうかもな。残ったのは乗った奴だけかもしれねぇ」
 
ガゥン!!

「うおぅっ」
 弾丸が大木の端を貫通して健吾の頬を掠めた。
「……マグナム銃か。迂闊に顔は出せねぇな」
「なにそのマグナム銃って?」
「威力がすげぇんだよ。その分連射はきかねぇんだけどな」
 一方、健吾の持つベレッタは容易に連射ができるオートマチック銃。

パン、パン!!

「女だ!! 金髪の!!」
「金髪の女……エリスだわ!!」
「エリス!? そっちの世界の奴か!?」
 2人は出会ってからお互いの世界の情報交換をやっていた。
 信じられないような話。情報交換の度に二人は驚いていたのである。

「説得は!?」
「私じゃ無理よ。ここにいる人……智樹さんならできるかもしれないけどね」
「谷口か……アイツはこんなとこにはいねぇだろうな」
 その頭脳がもたらす安全圏を確保しているに違いない、と健吾は読んでいた。
 健吾は自分なりに安全な場所を選んだつもりだったが甘かったようだ。

「逃げるぞ!!」
「逃げるってどこへ!?」
「……そうか。そうだったな」
 F1地区に逃げたとしても約2時間後には禁止エリアとなる。
 E2地区を通らずに逃げる術など存在しないのである。
「袋のネズミってやつか……ちくしょう!!」

ガゥン!!

パン、パン、パン!!



 銃撃戦が行われる中、エリスもコリンたちの姿を確認した。
「よく知らない人と2人でいられるわね。神経疑うわ!!」

ガゥン!!

「くぅ……」
 マグナム銃の反動はエリスの手首に大きなダメージを与えていた。
「殺さなきゃ殺される……ならやるしかないじゃない!!」

ガゥン!!

 まったくもってその通りだ。この世界ではゲームに参加するしかない。
 戦闘を放棄することは許されていないのである。
 痛みを無視してエリスは銃を撃ち続けるのであった。



「もう……行くっきゃねぇな。コリン」
「なに?」
「俺が道を開いてやる。D1に入らないようにD2地区へ逃げろ」
 健吾は自分を囮にしてコリンを逃がそうと思った。
 戦闘に向いている健吾がエリスをひきつける。それは役割的にも正解だ。

「なに言ってんの!? それって……」
「逃げろよ? 逃げなかったら恨むからな」
 健吾は木の間を縫うようにしてエリスに向かって走り出した。
「……っ」
 コリンは健吾の言う通りに、西に向かって逃げ出した。

ガゥン!!
「………!!」

 姿の見えたコリンをエリスは見逃さなかった。
 近づく健吾を無視して、コリンをマグナム銃で撃ち抜いた。

パン、パン、パン!!

 そして健吾の撃ったベレッタの弾は3発ともエリスに命中する。
「コリン!!」
 即死したエリスと違って、コリンはまだ生きていた。
 弾の当たり所がよかったのか悪かったのか……しばらくは生きていることができた。

「……囮の意味がねぇじゃねぇかよ」
「むしろ……私…が囮になったわね」
 結果から言えばコリンを囮にして健吾がエリスを倒したことになる。
 健吾の想定はことごとく外れていったのである。
「もう駄目か?」
「そんな聞き方……まぁいいわ。……事実だし…ね」

「そうか……」
「ま……がんばっ……てね」
 息絶えてからコリンの身体は数秒で霧となって消えていった。
「悪い。約束破るわ……」
 エリスがいた場所へ行き、マグナム銃、スタンガンを拾い上げる。
 コリンの死んだ場所にブレザーを脱ぎ捨てる。

「このゲーム……俺が優勝する。お前ともう一度逢ってみたくなったからな」

エリス・クェーデリア 死亡  死因:射殺 三日目16:43
コリン・クリーク   死亡  死因:射殺 三日目16:48






 一方、エリス達が死んだ頃、智樹も戦闘中だった。
 A2とB2の境目付近で一方的な銃撃戦だ。
 相手はグレネードランチャー。雄二を撃った相手なのだが智樹はそれを知らない。
「こんな武器じゃ対抗できるわけないじゃないか」
 自分が持っているのはスナイパーライフル一丁。
 一点狙撃VS無差別爆撃。こんな戦いが成立するわけもなく戦いは一方的だった。

 正確な位置を知られていないのが智樹にとって唯一の有利な点。
 しかし、爆撃は智樹に索敵を行う時間すら与えてくれなかった。
「考えろ…考えるんだ……」

ドォォォン!!

 智樹のいる位置とは見当違いのところが爆撃される。
 その隙に智樹はスコープを覗き、撃った者を確認した。
「…………神無」
 自分の魂の従者。神無は自分を撃っていると知っているのだろうか……。
「まずい!!」
 神無がグレネードランチャーをこちらに向けて撃ってきた。
 智樹は避けるために全力で走った。

ドォォォォン!!

「うわっ!!」
 爆風で身体が前に飛ばされる。地面を何回も転がることとなった。
「……君を止めるのが主としての責任なんだろうね」
 智樹はまさか、神無に向けてこの引き金を引くとは思わなかっていなかった。
「もう、何人も殺したんでしょ? 怖かったんだね……神無」
 少女は涙を流しながら撃ち続けている。やがてこちらに銃身が向く。
 それをスコープ越しに確認しながら智樹は引き金を引く。

パシュッ!!

ドォォォォン!!

(これでいい……。僕達はこれでいいんだ……)
 消滅される。霧になる必要もないほどの爆撃だった。

 一方、神無も顔を打ち抜かれて即死。智樹より数秒遅れてこの世から消えた。
 あとに残されたのはスナイパーライフルとグレネードランチャーだけだった……。 
 
谷口 智樹 死亡  死因:射殺 三日目16:54
神無    死亡  死因:射殺 三日目16:54


メンバー表
No 名前
藤木 雄二
井上 春香
谷口 智樹
斉藤 有香
風華
高槻 健吾
吉沢 猛
結城 さやか
溝口 奈々
10 コリン・クリーク
11 田村 直人
12 壁雲
13 レナ・ヴァレンティーノ
14 エリス・クェーデリア
15 神無
16 藤木 千夏
17 美空
18 ジート・クリーク
19 March


残り3人



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