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この世界と地球との違いが分かるようになってきた。
なぜか日本語を話すリオラート人々、ソウルウェポンの存在。
不思議だと思うことはたくさんあるけど、俺はこの世界結構好きだな……

第6話 ご帰還 <<雄二>>

 レナが部屋から戻ってきた。
「これをつけていてください」
 レナが俺に渡したものはガラス玉の付いたペンダントだった。
「これは?」
「クリスタルです。チキュウにはないものですよ」
 クリスタルは青く輝いている。見れば見るほど不思議な石だ。
「ありがと。いつでも呼んでくれよ。寝てるときはちょっと勘弁だけどな」
「呼ぶときは声をかけますよ。ウェポンに目覚めていれば話もできますから」
「そうなのか?わかった。肌身離さずつけとくよ」
 そう言って二人で笑いあう。なんかいいなぁ……
 こんなにのんびりとした時を過ごせるなんて地球じゃあり得ないかもしれない。

「それじゃ、リオラートと地球の違いについて教えてくれよ。時間あるだろ?」
「はい、いいですよ。たとえば地球にはモンスターがいませんよね。
リオラートでは当たり前のように出ます」

「モンスター!? あの熊とかか?」
「熊? ああ、グリズリーのことですね。あれもモンスターです。あとはスライムとかコブリンとか」
 ますますRPGじみてきたな……。
「他になんか違うとこあるか?」
「そうですねえ。ここは見てのとおりの世界ですから……『てれび』とかはないです」
 何でテレビなんて単語知ってんだろ……? つまり電化製品一切無い訳ね。
「それ以外はたいして違わないと思いますよ。まぁ盗賊とかいたりしますけどね」
「本当にRPGみたいだな。面白そうだ」
「あーるぴーじー? ってなんですか?」
「ああ、気にしないで。こっちのこと」
「そうですか」
「うん、ありがと。こっちの世界のことは大体分かったよ」
「お役に立ててうれしいです。もうそろそろ帰ります? 力も回復しましたけど」
「う〜ん。まだいたい気もするけど……」
 窓から見る景色はすでに真っ暗だ。いろいろ話しているうちに夜になってしまった。
「仕方ない、今日のところは帰ることにするよ。いつでも来れることだし」
「はい、次に呼ぶときは村を案内します。町のほうに行ってみるのもいいですね」
「んじゃ、着替えてくるよ。この格好で帰ったら爆笑もんだ」
「じゃあ準備ができたら呼んでください。村から離れて召還しますから」
「了解。ちょっと待ってて」
 そう言って俺は客間に入り制服に着替えた。

 楽しい世界だな。春香や健吾つれて来たら面白いだろうな……

 最後にクリスタルを装備し部屋を出る。
「準備OKだ。行こうぜ」
「はい」

 200mほど村から離れて俺たちは召還の準備に取り掛かった。
「じゃあ、はじめます。来て『美空』」
 レナの右腕に腕輪が現れる。
「美空を使えばいつでも話せるんだろ?」
「はい。ちょっと力使うんで疲れますけどね」
 レナはそう言って微笑む。
「そっか。まぁ暇なときはいつでも話しかけてくれ。俺はいつでも大抵暇してるから」
「はい、リオラートに来たくなったらお話中に言ってください。いつでも召喚してあげますよ」
 そう言ってレナはにっこりと微笑んだ。

「なぁ……友達も連れてきていいのか?」
「う〜ん。召喚時にクリスタルから2m以内に入れといてください。
その範囲に入っている人間を召喚しますよ。人数にもよりますが……頑張って召喚します」

「頼む。じゃあな、世話になった。また会おうぜ」
「はい、また会いましょう」
 そしてレナは俺から離れる。
「じゃあ『美空』お願い。」
 その瞬間俺の目の前が真っ暗になって数秒後、光が俺を包んだ。そして俺は地球に帰ってきた……


 ここは屋上だ。帰ってきたんだな……
 リオラートで夜まで過ごしたのにこっちではまだ昼。なんか時間の感覚がおかしくなりそうだ。
 次行くときは同じ時間に帰してもらおう。
 もうすぐ昼休みが終わる。教室に戻りますかね……

「うるぁ!! 雄二どこ行ってたボケー!!」
 春香がさっそく俺に文句を言ってきた。
「……異世界」
「はぁ? 頭大丈夫ですかぁ?」

コンコンコン

 俺の頭をノックする。やっぱさぁ、この世界はこうじゃねぇとな……
「4時間目の前に貴様を始末する!!」
「上等!! 決闘だぁ!!」
 ラウンド、ツー、ファイト!!
 俺は4時間目が始まるまで散々春香と殴りあった。

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