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 よく考えたらさ……俺って今かなりやばくないか……?
 かなり時間狂ってる。リオラートで過ごした約6時間が俺の体内時計を狂わせている。
 今日は全てプラス6時間で対応しなければ……

第7話 Let's Challenge <<雄二>>

 なんとか授業をこなしてただいまの時刻午後4時半でございます。
 俺の中ではすでに夜の10時半。一日は終わろうとしています。
 あと30分でいつもの睡眠時間が来ます。だが、俺は耐えなければならない。
 と、いっても全然眠くないんだけどな……

 俺は何とか春香を振り切って裏山に逃げ込んだ。
 きょろきょろと周囲を見渡し、誰もいないことを確認する。
 他人に見られたら完璧に変人扱いだしな……
「来い。『風華』」
 なるべく小声で風華を呼び出した。

 両手に短剣が現れそれを握る。
『ん?こっちでなんか用?』
(魔法とやらを使おうぜ)
『本気だったの?こっちでやったら下手したらばれるよ?』
(問題ねぇよ。周囲は確認済みだ)

 何のために挙動不審にここまで来たんだと思ってんだよ。

『んじゃ、やってみよっか。やばくなるのあたしじゃないし』
(おまえ……どんどん間抜けになっていくな……)
『誰が間抜けよ!!』
(最初は『私の助けが必要か?』とか言ってたのに、今じゃ『あたし』とか言ってるし……)
『うっ……あれは初対面はかっこよくしておきたいじゃない』
(まぁ、いいけどな。俺こっちの風華のほうが好きだし)
『でしょ? じゃ、気を取り直して魔法の練習しましょうか』
(おう、ってどうやって使うん?)
『まぁまぁ、慌てなさんなって』
(了解、時間はまだまだあるしな)
『まず魔法を使う前に一つだけ言わせてもらうわ』
(んだよ、なんかあんのかよ)
 儀式でもあんのか?

『あたしの持ち方が違う!! あたしは逆手で持ちなさい!!』
 俺はナイフとフォークのように短剣を順手で持っていた。
(……どうでもいいだろ。そんなもん)
『ダメ!! これで戦うこともあるんだから使い方ぐらい覚えておいて!!』
(戦うことなんかあんのかよ?)
『あっちじゃモンスターも出るって言われたでしょ?素手で戦うの?』

 俺の頭の中をグリズリーの爪が駆け巡る!!

(『風華』を使わせてもらいます)
『うんうん、賢い判断だね』
 俺は風華を逆手に持ち替えた。
『じゃ、まず癒しのほうからいくね』
(了解)
『復唱して。 <<風華の主が命ずる>>』
(風華の主が命ずる)
『ダメよ!! ちゃんと口にだして言って』
「わかったよ。<<風華の主が命ずる>>」
『<<風よ。我が身の傷を癒せ>>』
「<<風よ。我が身の傷を癒せ>>」
 とたんに周囲の風が俺に集まってくる。体が風に包まれていくのが分かる。

『他人に使うときは癒したい人に剣を向けて<<彼の者の傷を癒せ>>って言ってね』
「おう。了解だ」
『じゃ次。攻撃の方ね、そこらへんの木に剣を向けて』
 俺は適当な木に剣を構えた。
『<<風華の主が命ずる。風よ、矢となりて我が敵を討て>>』
「<<風華の主が命ずる。風よ、矢となりて我が敵を討て!!>>」
 風を撃ちだす感覚が俺の手に残る。目標の木が風の弾丸によって撃ちぬかれる。

ズズズズズズッ
ズズーン

 木が衝撃を受けて倒れる。
「す、すげぇ……」
『地球じゃ使わないほうがいいわね。ありえないことだし、人も殺せちゃうしね』
 風華は淡々と言う。

 とんでもねぇ能力を身につけちまったッス……。

 そのとき眩暈がして体が少しふらついた。
「お?なんか体がだりぃ……」
『あたしの能力を使うにはユージの精神力を使うからね』
(じゃあさ。癒したらダメなのか?)
『そんな都合よくいかないわ。癒すのは体の傷だけ、精神力までは癒せないよ』
(ま、そりゃそうか。よし、使い方は分かった)
『あたし自身の使い方はまた今度ね。だいぶ疲れたでしょ?」
(そうだな、また今度にしよう)
『じゃ、帰りましょ?早く逃げないとそこの木の事聞かれるわよ?』
「そりゃ、やべぇ。『風華』消えろ」
 風華を消すと俺は早々にその場から退散した。

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