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 なんかいきなり短剣出てきた。
 熊にやられた傷がどんどん癒えていってさ。完治しちゃったわけよ。
 やられた痕も残さずに……
 そんでもって『ふうか』って誰よ?
 あと忘れそうだが……大きな疑問がひとつ…………ここ、どこよ……?

第4話 地球開放宣言 <<雄二>>

 傷も治ったし、動ける。一応ながら武器も手に入った。
 さぁこれからどうしよっか……

『逃げて』
「あ?」
 左右を見回しても少女と熊しかいない。でも確かに聞こえた。
『私、風華<<ふうか>>。ユージが持ってる短剣』
(ジーザス……剣が喋ってやがる。)
『詳しい話は後、とりあえずそこの女の子連れて逃げて』
 剣如きの命令聞くのも癪だが一番いい方法だな。
 俺は短剣で熊を牽制しつつ女の子の方へ向かった。
「おい、とっとと逃げんぞ。俺に掴まってろ」
「は、はい」
 俺は俗に言うお姫様抱っこの状態で一目散に逃げ出した。
 っておい!! なんだよこの速度!! 普通じゃねぇ!!
 あっという間に熊から200m位の距離をとることができた。
「は、はやっ!!」
 少女も驚き気味だ。
「おい、どうなってんだよ短剣」
『風華って呼んでよ。私の能力』
 熊のいた森から1km離れたところで止まった。
「さて、いろいろ聞く事がたくさんありすぎて困ってるぞ」

 少女を見て……おお、結構可愛い……。
 短剣を見て……変な剣だな……。

「まず短剣。おのれの話じゃ」
『風華って呼んでってば!! 私はあなたの力。それだけよ』
 どゆこと?
「もしかして……それソウルウェポンですか?」
 少女がわけの分からん単語を出してきた。
「そうるうぇぽん?なにそれ?」
「その短剣がお話してるんですよね?」
「ああ……って、俺以外聞こえてねぇの?」
「はい、ソウルウェポンとはそういうものですから」

 なんてこった。今まで俺は独り言を喋っていたのか……そうとうハズいぞ。

「ほぅ。で?ソウルウェポンって何よ?」
「魂を持つものなら誰でも持っているっていう魂の形を具現化したものですよ」
「ふ〜ん。俺そんなもん持ったヤツ今まで見たことねぇんだけど」
「それはそうでしょう。あなたのいたチキュウという世界では決して目覚めない能力ですから」

 あ?今何て言った?

「そういえばさぁ。ここどこよ?」
「ここはリオラートという世界ですよ。チキュウとは違う世界ですね」
「……質問があるんだが」
「さっきから質問尽くしじゃないですか」
「うっさい。いいから聞くぞ?何で俺ここにいんの? 何でアンタ俺が地球から来たって知ってんの?」

「ここにいるのもチキュウから来たのを知ってるのも私が呼んだからですよ」
「…………」
(つまり何かい。こいつが俺をこの世界に呼んだんかい。)
『そういうことになるね』
(うっさい黙れ短剣。俺の心の声を勝手に聞くな)
『聞こえるんだから仕方ないでしょ?』
「実際に見たほうが早いですね……」
 そういうと少女は手をかざして言った。

「来て。『美空<<みそら>>』」
 彼女がそう言うと彼女の右腕に腕輪が現れれる。
「これが私のソウルウェポン美空です。能力は異空間とのコンタクト」
「ほう。それで俺を呼び出したと……」
「はい、あの時は必死だったので使っちゃいました」
「ありがとう。『美空』もういいわ」と彼女が言うと腕輪は消えた。

 こんなもん実際に見せられたら信じるしかないな……俺も持ってるし……。
 すげぇ能力だな。俺もそんなことができるようになったわけだ。

「サンキュ。いろいろ分かったよ。あと重要な質問。俺地球に帰れるの?」
「はい、帰れますよ。美空の力でほぼ元の場所、時間に帰れます」
「そっか、なら問題ないな。で、これからどうするんだ?」
「美空の力を使いすぎちゃったので、帰るのはちょっと待ってもらっていいですか?」
「いいよ、いいよ。どうせ帰ってもつまらんことしかないからな」
 春香も待ち構えているだろうし……ホント願ったり叶ったりだな。
 俺はもうこの異世界を観光する気満々だ。
 それと今思い出したんだが、めちゃくちゃ日本語で通ってるな。まぁ便利でいいけどよ。

「あ、忘れてました。私レナです。レナ・ヴァレンティーノです」
「俺は雄二。藤木 雄二。こっちの言い方ではユージ・フジキになるのかな?」
「ユージさんですか。よろしくお願いします」
「ああ、よろしくなレナ」
 そして俺はあの嫌な思いをした世界から一時的とはいえ解放されることになった。
 俺は爽快な青空に向かって叫んだ。

「俺は自由を手に入れた!!」

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