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 ある日、ある世界に19人の人間が集められた。
 見た事もない空間に集められた者達はただただ戸惑うだけだった。
 その中の1人が現状が掴めていない18人に説明を始めた……。

リオラトロワイアル 第1話


 周囲を見渡すと360度、森が広がっていて19人が集まる空間だけぽっかり開いている。
 誰もここがどこなのかを分かっていない。1人以外は……。
「皆さんにはこれから殺しあいをしてもらいます」
 無言の中、口を開いたのはMarchだった。

「おい、どういうことだよ」
「殺し合い? バカかMarch」
 雄二と春香がMarchに食って掛かる。

「だから殺し合いなんですよ。最後の一人になるまでのね」
 淡々と語るMarchに全員が戸惑いを隠せない。
「ここは私達の知ってる空間じゃないみたいです」
「どういうこと? レナさん」
 レナがポツリと呟き、有香がその訳を聞きだそうとする。

「この空間は私の制御できる空間じゃないわ」
「……誰だよアンタ?」
 突然、発言した謎の女性。雄二は誰だか分からなかった。
 
 
「美空ですよ。君達はまだ見たことないだろうけどね」
 雄二にMarchが彼女のことを教える。

「え? 美空……ですか?」
「ちょっと待て、美空がいるってことは……」
「当然、あたしもいるわよ」
 雄二が確認したのは、自分と同い年くらいの少女。風華だ。

「ちょっと待ちなさいよ!! 一体何がどうなってんのよ!!」
「落ち着けコリン!! お前が説明してくれるんだろ? March」
 混乱気味のコリンをジートが宥めた。

「なぁ、お前等、こんなことになった心当たりあるのか?」
「あるわけねぇじゃん」
「右に同じ」
 ヨッシーが原因を探ろうとするが、田村も健吾も分かるわけがなかった。

「あのぉ、いつになったら説明させてもらえるのでしょうか?」
「ちょっとみんな、落ち着いて。とりあえず説明を聞いてみようよ!!」
 混乱の中、智樹が大声で事態を静めようとする。

「智樹は利口でいいね。とりあえず話を聞いてもらおうか!? 統義(トウギ)!!」
 Marchの言葉と同時に全員の動きが止まり、会話が消える。
「あ、これ私専用のソウルウェポンね。全てを統べるの」
 凄く明るく喋るMarchだが、誰も何も言わない。正確には言えないのだが……。

「で、ルール説明ね。さっきも言ったけど殺しあいね。
能力は一切使えないから、自分の力だけで殺してね。
食料と武器はそこらじゅうの箱にランダムで入ってるから……。
あ、忘れてた。地図はあげるからね。あ、統義。もういいよ。ありがとう」
 Marchは統義の拘束を解いた。

「てめぇ、何しやがるんだ!!」
 その瞬間、雄二が殴りかかってくるが、その途中で動きが止められる
「雄二君!!」
「頼むから有香も動かないでよ……。雄二は動けないだけだから、ね?」
 ついでと言わんばかりに有香の動きも止めてしまう。

「要するに全員殺せばいいんでしょ?」
 全員が拒否反応を示す中、春香が乗り気の反応を示した。
「ちょっと春香!! いくらなんでも酷いわよ!!」
「どうして? この世界を出れるのは一人。ならやるしかないでしょ?」
 さやかの反論に春香は淡々と語る。
 このゲームのルールをいち早く理解し、実行することができる人間だからだ。

「March。当然メリットはあるんでしょうね」
「だってメリットなかったら君達は殺る気にならないでしょ?
ちゃんと準備してありますよ。番外編の主人公になれる権利、どう?」

「「「「「 ………… 」」」」」
 Marchを除く、全員が思った。別にいらない、と……。
 
「まるで、バトルロワイアルですね。禁止エリアもあるのでしょうか?」
 神無がMarchに質問をする。
 智樹の相棒をやっているだけあって鋭い質問である。
「あるよ。ランダムで3時間に1エリアずつ消えてきます。地図見てね」
 Marchが一人一人に地図を配っていく。
「こんのぉ!!」
 ずっと黙っていた千夏が地図を受け取ると同時に奇襲をかける。

「あのさぁ、千夏ちゃん。私を殺しても止まらないんだよ。このゲームは……」
「…………」
 動きと声を奪われているが、千夏はなおも何かを叫んでいる。
「さ、地図を配るよ〜」
 全員に地図がわたったところで千夏の拘束を解き、説明が再開される。


「禁止エリアは神の声が知らせてくれるよ。1日に1回、8箇所。深夜0時にね。
最後の勝者だけがこの世界から出れるんですよ。それまでは誰も出られないんです」

「ん? じゃあお前は?」
 雄二がふと気になったことを聞く。
「え?」
「いや、だからさ。お前はどうやってここから出るんだ?」
「…………」
 Marchは冷や汗をだらだら流し絶句した。

「まぁ、出られないんだから参加者になるしかねぇわな」
 壁雲が事情を理解し、雄二に加勢する。
「わ、私も参加するの?」
「残念ながら……そうなるわね」
 エリスはMarchを冷たい目で見ながらとどめの一言を口にした。

 

「じゃあ、これから一人ずつ3分おきにスタートしてもらいます!!」
 Marchはもはや8割方ヤケクソだった。
 それはそうであろう。Marchは確実に狩られる側なのだから……。
 番外編の主人公になり得ない時点でそれは決まっているのだ。

「クジ引いてね〜」
 全員は紐を持ちいっせいに引っ張る。

リオラトロワイアル参加メンバー
No 名前 出発順
藤木 雄二 12
井上 春香 14
谷口 智樹 17
斉藤 有香 19
風華
高槻 健吾
吉沢 猛
結城 さやか 16
溝口 奈々
10 コリン・クリーク
11 田村 直人 13
12 壁雲
13 レナ・ヴァレンティーノ
14 エリス・クェーデリア
15 神無 15
16 藤木 千夏 18
17 美空 10
18 ジート・クリーク 11
19 March


「ルールを破ると殺されるからちゃんと1人ずつスタートしてね」
「本当に……殺しあうしかないの……?」
 さやかは涙目になりながらみんなに訴える。

 出発順が決まり、各々が各々の形でゲームに参加する。
 嘆く者、涙する者、覚悟を決める者、ゲームに乗る者。
 しかし、ゲームは止まらない。健吾は誰にも何も言わずに森に入っていった……。


残り19人

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